酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン

人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン

人生を変えた贈り物 あなたを「決断の人」にする11のレッスン

この本にしろ、以前にご紹介した「すごいやり方」なども同様なのですが、成功哲学の本を一番プリミティブなレベルまで追い込んで行くと、このようなスタイルにならざるを得ないのだなぁと思います。
ポジティブシンキングは大切ですが、それだけではまだ曖昧なので、読者に「目的へ向かう決断」と、「失敗の受容と分析」、「不断の改善努力」を勧めます。そしてそうした努力を日々の雑事の中に忘れ去ってしまわない為に、朝夕の自分への「質問(チェックリストと言ってもよい)」を用意して、「さあ、あとはやるだけ」と背中を押してくれるのが通常のパターンと言うことになります*1
御説ごもっとも。歯切れの良い文章には好感が持てます。私自身はこういう attitude は嫌いではありません。
とはいえここに挙げられた態度は成功するための必要条件かもしれませんが、十分条件とは言えない所に難点がありそうです。確かにこうした成功哲学の著者達は、本に書かれたような自分の背丈にあったプリンシプルや簡単なチェックリストを使って自分自身を絶えずブートストラップしてきたことは事実でしょう。そして最後には成功してこうした本を書くことができるようになったというわけですが…。
ただこの手の類書がなくならないことを考えると、こうした方法は容易には(少なくとも書かれた文章としては)移転が難しいことだとわかります。とすればその「技術移転」の部分をうまく成功させるためにはどうすればよいかを考えるのが、人類としての(笑)次のステップなのかもしれません。
チェックリスト形式は一見簡単だしうまく行きそうです。定期的なチェックポイントの導入も然り、しかしこれはコーチの存在を強く示唆します(まあそんなものかもしれないのですが)。コーチなしにそれぞれの人間が自分の問題解決に適したブートスラップ手法を開発、継続することは可能でしょうか?
まあ可能だとしたら、ダイエットに成功する人続出ということでしょうけどね(笑)。

*1:こう書いてしまうとあまりにも普通ですね