「寸鉄人を刺す」という言葉がありますが、この本に集められたアインシュタイン氏の数々の言葉こそ、その表現に相応しいものでしょう。
個別の出典が書かれていないのは少し残念ですが、テーマ別に分類されたアインシュタイン氏の短くも鋭い言葉のどれかが、読み手の凝り固まった思考の凝りをほぐし、新しいインスピレーションを与えてくれることでしょう。
一方的に「偉い人」のありがたいお話を聞くという内容ではありません。むしろ日常を切り取る視線を一緒にアインシュタイン氏と追うことが楽しくなるような本です。
もちろんピンとこないものだってある筈ですが、そうしたものは適当に読み飛ばしておけば、いつかまた何処かで出逢えるような状況があるかもしれません。
では以下いくつか引用を
- わたしは天才ではありません、ただ、人より長くひとつのことと付き合ってきただけです
- どうして、自分を責めるんですか?他人がちゃんと必要なときに責めてくれるんだから、いいじゃないですか
- 信念は、推進力としては役に立つが、調整器としては役にたたない
- 今の妻が科学を理解出来ないことは嬉しいことです。最初の妻は理解できたんです
冷静で茶目っ気のある内容が垣間見えますね。
ところで、この本は以下の原書の翻訳なのですが
訳書はこの原書の完全な翻訳ではなくて、抜粋された内容になっています。おそらく多くの日本人にとって馴染みにくい内容を取り除いたのだと思いますが、個人的には落としてしまうには勿体無いものもあるような気がします。たとえば原書にあった "on art and music (芸術と音楽について)" という章は含まれていないので、その中のいくつかを引用してみましょう。
- 音楽は研究に影響を与えはしないが、どちらも同じ情熱に突き動かされ、その表れはお互いを補いあっている
- [ベートーベンについて]私にとっては劇的すぎ、そして個人に寄り添いすぎる
- [リヒャルト・シュトラウスについて]才能はある、しかし内面の真実に欠けている
- 音楽の中に論理は求めない。全体を直感で感じ、理論を知ることはない
いま気がついたのですが、続編もあるようです。
- 作者:アルバート アインシュタイン
- 発売日: 2006/03/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
近いうちに手に入れて読んでみたいと思います。