酔眼漂流読書日記

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ライフロングキンダーガーテン (紹介その2)

 

ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則

ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則

 

先日ご紹介した新しい書籍「ライフロングキンダーガーテン」ですが、各章から個人的に気に入った箇所を1つずつご紹介します(気に入った箇所は、他にも何箇所もありますけれど)

 

 

第1章 「創造的な学び」より

<私が実際に、創造的思考者として人びとが成長することを助ける手段を考えてきたとき、そのインスピレーションの多くは、子供が幼稚園で学ぶ方法から生まれたのです。「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」というフレーズは、この本のタイトルというだけではなく、MITにおける私の研究グループの名前としても使用されています。私は、幼稚園スタイルの学習こそが、急速に変化する今日の社会で活躍していくために必要な創造力を、あらゆる年齢の人びとが育むために必要なものであると確信しています。>

 

 第2章 「プロジェクト」より

<電子部品がますます小型化し、安価になるにつれ、ますます多くの計算能力が玩具に詰め込まれています。しかし、子供たちはこうした玩具とやりとりして、一体何を学ぶのでしょうか? 玩具会社のエンジニアやデザイナーたちは、これらのおもちゃを作ったときに多くのことを学んでいるに違いありません。しかし、そのおもちゃと触れ合う子供たちはどうでしょう? 玩具そのものが創造的であるという理由だけで、子供たちが創造的になる手助けができるわけではありません。> 
 

第3章 「情熱」より

シーモア・パパートはこのタイプの学びを、「ハードファン(hard fun)」という言葉で表現しました。教師や教育関連書籍の出版社は多くの場合、学びをより簡単にしようとしています。子供たちが「物事が簡単であること」を望んでいると考えているからです。しかし、それは間違っています。ほとんどの子供たちは、取り組んでいることに興奮している限り、喜んで働きます。懸命に働くことを熱望するのです。>

 

第4章 「仲間」より

<多くの人はスクラッチプログラミング言語だと考えています。もちろん、間違いではありません。しかし、スクラッチに取り組んでいる私たちは、それ以上のものだと見なしています。極めて初期の段階から私たちの目標は、サンバ学校の精神に基づいて、若者が互いに、創造し、共有し、学び合う、新しいタイプのオンライン学習コミュニティを創造することでした。私たちの最優先課題は、世界中の若者に創造的な学習体験を提供することです。同時に、教師、保護者、デザイナー、研究者などが、創造的学習を支援するためにオンラインテクノロジーとオンラインコミュニティの果たす役割を理解することも支援します。>

 

第5章 「遊び」より

<た私の同僚アモス・ブラントンは、デンマーク語には遊びを表す2種類の言葉があることに驚きました。spilleという単語は、スポーツやビデオゲームのような、あらかじめ決められた構造とルールセットを使うタイプの遊びを表現することに使われます。一方、legeという単語は、明確なゴールのない、想像力豊かで自由な遊びを表現するために使われます。その意味で、デンマークのおもちゃ会社が、SPILGOではなく、LEGO(lege with godt の略。「よく遊ぶ」という意味)という名前であることは、とても適切なことのように思えます。レゴブロックは明らかに、想像的で、自由な遊びをサポートするようにデザインされているのですから。>

 

第6章 「創造的な社会」より

<一般に見られる誤解は、子供たちの創造性を伸ばす最善の方法は、単に子供たちの邪魔をしないようにして、子供たちの思うままにさせること、というものです。子供たちが生まれながらの好奇心と探究心を持っていることは事実ですが、その創造力を育み、その可能性を最大限に発揮できるようにするには支援が必要です。
 子供の発達を支援するには、常にバランスをとることが要求されます。どの程度型を与えるべきか、どの程度自由であるべきか、介入するのはいつか、一歩退いて見守るのはいつか、いつ見せて、いつ聞かせ、いつ尋ね、いつ聞くのか。
 本節をまとめるにあたり、私は親や教師のためのヒントを一緒に組み合わせることにしました。>