岩波ジュニア新書です。
タイトルだけ読むと、いじめに対する具体的な反撃手法が書いてあるのかと思えますが、実際の内容は著者自身が鬱々とした自分の内面を振り返りそこから抜け出すための決意をするまでを書き留めたものです。
ご本人の辿り着いた結論は言葉にしてしまえば単純で
- 人の評価は気にしない
- いやなひととは付き合わず関係を単に断つ
ということなのですが、この結論そのものは「岩波ジュニア新書」を手に取る層であろう「悩みまっただ中の中高生」には響き難いかと思いました。
ということで、想定対象読者層にはあまりオススメできない本だなとは思ったものの、私自身がこの本を読んでなんとなくわかった気になったのは「自己評価をどうしても下げたがるひとの心理」の一端です。
極端に他者の評価軸を気にしてしまうゆえに、自分の思いを押しこめながら振舞いがちになる。にも関わらずその世界で少しでも否定されればこの世の終わりのように落ち込み、逆に受け容れられればられるほど疑心暗鬼が育っていく。その結果なにもかも投げ出して破綻に突き進んでいしまう。そうした苦しい軌跡があまり飾ることなく淡々と書いてありました。内容に寄り添いながら読むには少々辛い本ですが、身の回りにそうしたことを感じさせる近親者や友人、知人がいる方には参考になるかもしれません。
「人の目なんか気にするな」と私達はアドバイスしがちですが、結局そう言われてもご本人はなかなか救われないということもよくわかります。難しいことです。
著者が最初に書いたような「結論」にたどり着くのはある意味必然だったとも言えるでしょう。新書ではこうした「結論」を見出したところで終わっています。これから何年かした後に、またそこまでを振り返って何かを書き記して貰えたらと思います。