酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

たいした問題じゃないが

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)

20世紀初頭にイギリスで華咲いたエッセイ文学。その当時の作者を代表するガードナー、ルーカス、リンド、ミルンの作品から抜粋されたものが集められています。ご想像の通り、人間の振舞は100年前も同じようなものなので、エッセイの主題も現代に通じるものが大部分です。
ただ流石に文章のリズムといいますか息使いは、時代がかったものを感じさせます(もちろん翻訳のせいもあるのでしょうけれど)。
下手をすると間延びした感じもするイギリス式ユーモアは、あまりどぎつく人間を責め立てたりはしませんが、人間の真面目さや卑小さを一種の滑稽さに転じて優しく見守っているようです。
晴れた日の午後の休憩時間に、紅茶とクッキーの一二枚を前にして毎日少しずつ読んでゆくのに適した本だと思います。