酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

仕事道楽—スタジオジブリの現場

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)

あまりにも有名な宮崎そして高畑監督の陰に隠れがちですが、この著者はスタジオジブリを今の形にした最大の功労者の一人だと思います。まあそうした面白く具体的な逸話は実際の本を読んでもらうとして、ここではふと抱いた感想を書き付けておくことにします。

この本は見方を変えると、所謂ファシリテーションの成功実例として読む事ができると思います。一般に宮崎駿が「天才だから」という理由でジブリの成功は語られがちですが(そしてその分析も決して完全な間違いというわけでもないのですが)、陰にはうまく才能を引き出すファシリテーターの姿があります。
このファシリテーションは何段階にもわたります。人は抽象的な世間に向けて仕事をするのではなく、具体的な個人の顔を思い浮かべてその仕事の質を高めていくのかもしれません。