酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

パブリックスピーカーの告白

発売開始は少し前だったのですが、拙訳により新しく出た書籍についてご紹介します。本書「パブリックスピーカーの告白 ―効果的な講演、プレゼンテーション、講義への心構えと話し方」は、もともとマイクロソフトで製品マネージャーを努めていた筆者が、退職後 2 冊のベストセラーを書き、それにひき続いて書き著した 3 冊目の書籍です。
先行する 2 冊は以下のもので、どちらも技術寄りの内容です。

先の 2 冊の成功によって、著者は世界中でマネジメントやイノベーションに関して講演を行うことになったのですが、この経験を通して「人前で話すこと」に関する内省を行い、それらを役に立つ面白い読み物として纏め上げたのがこの本です。「プレゼンテーションの本」ではあるのですが、ありがちな「カッコイイ PowerPoint の作り方」といった内容ではなく、そもそも「人に伝えること」とは何か、「聴衆が求めるものへの洞察」を如何に深めるかを、「一般論」ではなく著者自身の「個人的な物語」として披露してくれる内容となっています。

適度なユーモアを含んだ情熱的で正直な語り口(数々の失敗談や、綱渡りのようなエピソード)は、読者を惹き付ける力に溢れています。もちろん単なる精神論だけではなく、後半には講演の現場でおきる様々なトラブルの具体的な予防策や対処法なども挙げられています。

およそ人前で話をする機会のある全ての人に、興味深く読んでいただけるのではないかと思います。

スティーブ・ジョブスではない平凡な私たちでも、段々と自身のプレゼンテーションの力を磨いていくための修練と習慣を始められるのではと思わせる示唆に富んだ書籍です。

本書と本書の中でも紹介されている具体的なスライド資料の作成法を解説した以下の書籍を併せて読めば更に効果的でしょう。

あるいは以下の本でトップレベルの人物によるプレゼンテーションに関する知見を得た後にも是非(笑)。