酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

沈黙のフライバイ

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

いまや日本のハードSFジャンルを代表する作家、野尻抱介氏の短編集です。いずれも野尻氏らしく人類の宇宙への憧れをベースに、想像の羽を伸ばしたリアリティで読むものを飽きさせません。
表題の作品には異星人と思われる存在が登場するのですが、「人懐っこい人類」に比べて随分とあっさりした存在として描かれています。最近SFとも縁が薄くなっていたのですが、こうした作品を読むと、現代の最高峰の作品たちは読んでおきたいなという気にさせられます。
こうした作品たちが、かつては多くの少年少女に「科学への憧れ」を植え付けていたことを思えば、一読者としては、もっともっと良質の物語を発見し紹介していきたいという思いにとらわれます。