酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

鈴木先生

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

鈴木先生 2 (アクションコミックス)

鈴木先生 2 (アクションコミックス)

作者の武富健治氏は、自らを「文芸漫画家」と呼んでいるようですが、ペンを使った陰影の多い独特の絵柄は「つげ義春」や「水木しげる」を思い起こさせます。先日ご紹介した「掃除当番―武富健治作品集」が初期の習作集という位置付けとすれば、「出世作」の本作には当時から連綿と描き継いできたテーマが集大成のように織り込まれています。
中学教師の「鈴木先生」は日々生徒の問題に心悩ませているのですが、物語は決して「金八先生」のような感動路線には流れず、鈴木先生が普通の平凡な教師として悩み、職場やプライベートの人間関係にも振り回される様子を描いていきます。プロットとしては淡々としているものの、登場人物の緊張が常に高く、息を殺して読ませるようなところがあり、非常に濃厚な読後感を得る事ができます。なお第2巻まででは話が中途半端なままなので、フラストレーションが溜まります(笑)。これから読むならたぶん半年後位に出版される第3巻を待ってからの方がいいでしょう。