酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」といった本と同じで、グーグルやグーグルのような検索エンジンが創出する新しい社会像を分析し解説した本です。この三冊はどれも面白いと思ったのですが、今回のものが一番一般解説書としてはまとまって読みやすいものだと思います。
もちろん経済にあたえる大きなインパクト、個人の力の拡張などにも触れられていますが、グーグルのようなものの存在によって「知らないうちに様々な情報が集められ、利用されている社会」に関しての危惧も寄せられています(どの本でも触れられていますが)。
本書ではカナダ・クイーンズ大のディヴィッド・ライアン教授による新たな監視社会の出現に対する考察が引用されていて、興味深く読めます。

  • ビックブラザー型
    • 「1984」のような中央集権監視システムの世界
  • パプティノコン型
    • 「一望監視施設」。監視施設がつねに目に入っていることによって、権力への自発的服従を招く仕掛け。ジェレミーベンサムによって考案され、哲学者のミシェルフーコーによって社会的な意味の考察が行われた
  • アッサンブラージュ
    • 国家による監視とマーケティング的な監視が結びつき、監視がネットワーク化されている。監視されていることさえ気がつかない

もちろん時代の趨勢は「アッサンブラージュ型」に移行する途中であり、「監視」がネットワーク化されつつあるというのが、ライアン教授の主張です。