酔眼漂流読書日記

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不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か

不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か (光文社新書)

不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か (光文社新書)

本年最後に取り上げるものを何にしようかと思ったのですが、何冊分かのバックログのなかから、この「不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か (光文社新書)」をご紹介することにします。
タイトルを見て「アイタタタ」と、思わず手が出てしまったのですが、内容は教育の大切さに関するいたって真面目な考察です。もちろん、ありがちな「ゆとり教育批判」などではなく、教育問題の本質が教育される側の「子供」側だけにあるのではなく、そもそも教育する側の大人の態度や生き方に由来していることを確かめつつ、「よりよく生きるための教養のススメ」といった趣に仕上がっています。
年末に向かってあまりにもオカルト的なテレビ番組が多いのに私は辟易していますが*1、これも論理的な思考への軽視が生み出す現象かと思うと先行きが本当に心配です。
本書にも書かれているのですが、日本の中高生に「数学でよい点を取るには?」というアンケートをとると、「運がいいこと」という選択肢を選ぶ割合が今や 50% を超えているそうです。最も当て物から遠いはずの分野がこれでは少々困りますね*2
来年はさらに自らの不勉強を恥じつつ、地道な活動を重ねたいと思います。
皆様良いお年を。

*1:まあ番組自身を見ていないので、あまり批判はできないのかもしれませんけど

*2:私の仕事方面の絡みで考えると、程なく日本のソフトウェア開発力に大きな問題として現れる気がしています