柴田氏が東大で行った翻訳演習(英日)を、学生とのやりとりとも含めて記録し再現した本です。もちろん翻訳の勉強のために読むこともできますが、私のように翻訳も仕事の一部としている者には、訳文を生み出す過程を講師や学生と共有し、議論しているような気持ちにさせてくれる、大変楽しい読み物でした。
「なるほど」と感心したり「オイオイ、そこはそうはしないだろう」と突っ込んだり。
まあこうした、ある意味重箱の隅をつつくような作業は、興味のない人には全く「楽しみ」が理解できないかとも思いますが…(笑)。
まじめにお勉強するつもりで読むなら、各章の冒頭にある英文を、一度自分で翻訳してからその訳文を傍らにおいて読み進むと良いでしょう。とても役に立つと思います。高校生位でもなんとか歯が立つレベルの内容です。