酔眼漂流読書日記

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素数ゼミの謎

素数ゼミの謎

素数ゼミの謎

とある有名大学の数学科にある「素数ゼミ」で殺人事件が。7日毎に残されるメッセージ、いつも11人分しかない研究室の椅子。謎が謎を呼ぶ中で名探偵ラマヌジャンはどのように事件を解決するのか…?というお話では全くありません*1
この本は英語で Magicicada (魔法ゼミ)あるいは Periodical cicada (周期ゼミ)とよばれるセミの生態について易しく解説した本です。タイトルの「素数ゼミ」という名は、この北米全域に分布するセミが各地に13年毎、あるいは17年毎の素数年周期で大発生することに由来しています。ちなみに直近の発生は2004年に東海岸で発生したもので、シンシナティには50億匹のセミが出現したそうです。
この本が面白いところは、ただ素数ゼミたちの生態を解説するだけではなく、「何故」そのような生態が出現することになったかを推理し、理論を提示し、それを論証するという形式になっています。もっともお堅い雰囲気ではなくて、中学生にも理解できるような語り口と綺麗なイラストが特徴です。
素数と進化の不思議な関係が説明されているわけですが、数理生態学という学問領域もなかなか面白そうだと思いました。

*1:店頭で表紙をみたときに一瞬アタマをよぎりましたが