酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

詩歌の待ち伏せ (続)

続・詩歌の待ち伏せ

続・詩歌の待ち伏せ

上下に続く、詩歌の待ち伏せシリーズ第3巻。あいかわらず多くの本を北村氏は読み、詩歌の世界に埋められた謎を読者の前に生き生きと提示してくれます。膨大な読書量に支えられた縦横無尽な引き出しからは、珠のような言葉が引き出され、著者は読者とともに言葉の謎の世界へと迷い込んで行きます。しかしこの迷子は決して不安だったり孤独だったりすることはありません、丁寧に道を尋ね、あたりを見回し、さまざまな言葉の断片をつないで、新しい眺望の場所へ出て行く過程を読者は著者と一緒に楽しむことができます。
例え詩歌好きでなくても、言葉に関心のある人なら誰にでもお勧めしたい本ですね。余計なお節介かもしれませんが、もし本シリーズを読まれるのなら「詩歌の待ち伏せ〈上〉」「詩歌の待ち伏せ 下」と順に読まれることをお勧めしておきたいと思います。このシリーズも一種のミステリのようなもので、最初の頃の「伏線」が後のほうで利いてくるということがしばしばありますので。