酔眼漂流読書日記

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進化しすぎた脳

進化しすぎた脳  中高生と語る「大脳生理学」の最前線

進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線

大脳生理学の最先端で研究を行う池谷氏が、2004年春に慶應義塾ニューヨーク学院高等部で、8名の中高生に対して行った集中講義の内容を記録した本です。語り口は平易ですが、最先端の知見を含み聞くものの好奇心を駆り立てるような内容になっていると思います。私がはるか昔生理学を学んだときよりも、更に研究の最先端では刺激的で面白そうなことが起きていることが良くわかりました。
脳の機能の話、ミクロな構造からマクロなネットワークの話、記憶をつかさどる基本メカニズム、意識の意味、身体と精神、そして著者の研究テーマの一つであるアルツハイマーの発現メカニズムについての話。などなどが次々と最新のトピックと共に語られます。
仮説を積み上げ、ノイズのなかから意味のあるデータを掬い上げ、新しい領域を切り拓く研究者のプロセスは、この本のもととなった受講生の中高生達に計り知れないインパクトを与えたに違いありません。私も中高生の頃にこんなにとてつもなく刺激的な講義を受けていたら人生が変わっていたかもしれません(笑)。