酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る

父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)

父親の力 母親の力―「イエ」を出て「家」に帰る (講談社+α新書)

様々な臨床心理の現場で働く人からの、家族に関する質問に、著者の河合氏が答えるという形式の本です。
スミマセン。はっきり言って私には感想を述べるのが難しい本です。多分数々の質問に対して河合氏が言いたかったことは

  • 今までの日本には西洋的な意味での父性原理は根付いていなかった
  • 個人主義が進む中で父性原理の欠如、母性原理の過剰が家庭内での人間関係を難しくしている
  • 人間は理屈どおりには動かない、家族はそれを経験するフィールドである
  • ともあれ家庭内での対話を子供が小さいうちから心がけなければならない

といったようなものだと思うのですが…種々の質問に対して、著者の永年の経験を生かした具体的かつ実践的な意見が述べられているというよりも、「だから人間は難しいんだよ、対話が大切なんだよ」という抽象的な結論がくり返し述べられているだけのような気がしてしまいます。
さらに「日本人は…」とか「西欧では…」とか「昔は…」という類型化が強すぎてなんだか落ち着かない気持ちになってきます。センセイ、そんな一まとめに片付けなくても…。確かに考えるためのヒントはあれこれ埋まっていると思うのですが、あまりにもあっさりとお話が流れて行ってしまうような気がしました。
まあ読み手の私がひねくれすぎているのかも知れませんが(笑)。