酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

井上一馬の翻訳教室

井上一馬の翻訳教室

井上一馬の翻訳教室

翻訳家「超」入門といった趣の本です。私も今までに何冊か翻訳を手がけましたが、井上氏が書いていることは翻訳家として非常に基本的な事柄を押さえているという印象を受けました(まあ私はあまりエラソーな事を言える立場でもありませんが)。翻訳家の心構え、翻訳家のこだわり、翻訳家の道具、翻訳家の生活、井上氏個人の翻訳家への道のりなどが易しく解説されています。
もちろん易しすぎて物足りないという意見もあるでしょうし、この本を読んだからといって翻訳がどんどんできるようになるわけではありません。むしろ翻訳家になろうかどうしようかと悩んでいる人を「篩」にかける効果があるのかもしれませんね。
ところで一つだけ気になる点は、翻訳家が使える道具立ての話の中にインターネットの活用が出てこないことでした。2004年に書かれた翻訳関連本としては、インターネットへの言及がないことはかなり厳しいと思います。