酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

かわいい子には旅をさせるな

鷺沢 萠 (ASIN:4479681582)
2004年4月に急逝した作家鷺沢萠氏の、死の直前まで綴られたエッセイです。実は私はこの本以外の作品を読んだことがありません。本屋でふと手にとってそのまま購入しました。この本を読む限りでは、この作家がとてもしなやかで、「しぶとい」感性を持っていたようにも思えるのですが、それに対して現実の彼女の最期(自殺と言われている)がうまく結びつきませんでした。言葉に対するこだわり、旅行で出会う微笑ましいトラブル、そのいずれもがいきいきとした女性を描き出しているのにもかかわらず…。本当にここに書かれた鷺沢氏にはそれほどの暗い影を感じることはありません(まあ、最後のエッセイは暗示的と言う事もできるのですが、普通の人間でも考える範疇だとも言えますし)。
人間は論理的に自殺するものではないと思いますが、そのような行動が解析できないとしても、せめて人間の背中を押してしまう最期のきっかけだけでも知りたいと(無茶な要求だとおもいながらも)願わずにはいられません。

合掌。