酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

異人伝―中島らものやり口

中島らも (ASIN:4584187932)
ガダラの豚」「永遠も半ばを過ぎて」「頭の中がカユイんだ」、あるいは「明るい悩み相談」などでも有名な中島らも氏の自伝的インタビュー。ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)
ヤク中アル中でボロボロかと思うと、突如傑作を発表するという氏が、その生い立ちから、その経歴、現在と未来の夢まで語った、中島氏のファンにはたまらない内容となっています。しかし何故か読めば読むほど、中島氏の遺言を聞いているかのような心持になってくるのが不思議です。大麻所持への「確信犯」度といい、この人は決して「更正」しないところに持ち味があるのだと思いますが(笑)、あとは少しでも長生きして1つでも優れた作品を書きのこして欲しいものです。ま、この人の場合「悪い」ことをすれば司直の厄介になることは覚悟しているようですし、いっそ牢屋の中にいると健康になって創作には良いかもしれません(←冗談ですよ)。
とまあ半ば茶化して書いていますが、「ガダラの豚」は本当に面白い小説でした。中島氏のエッセイなどには興味がない人でも、この小説だけはお勧めできます。