酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

葉桜の季節に君を想うということ

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

良くできたミステリーです。しかし、この本の性格上あまり感想を書くことができません。読み進めながら最後まで感じていた違和感が解決していく仕掛けには感心できるのですが、「文章」そのものを堪能できるという類の小説ではありません。このため途中で読むのが苦痛になって読むのをやめてしまったり、適当に読み飛ばしをしてしまったりする人もでてくるかもしれません。止めた人はまだしも、読み飛ばすと最後に驚けなくなるのでその意味でも厄介な代物ですね。

またいわゆる「本格推理」ものを期待して読むと肩透かしを喰らうかもしれません。まあ出版されてかなり長い時間が経っていますので、その筋の方々は先刻承知だとは思いますけど。

と、なんだか後ろ向きな事を書きましたが、何か気軽に読めて驚きも味わえる小説を求めているときにはぴったりな本だと思います。

なおこのような仕掛けの小説を読んで楽しめた人には、以下のミステリー(?)もお勧めしておきます。夏休みのお供にどうぞ。

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)