酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

経営に終わりはない

経営に終わりはない (文春文庫)

経営に終わりはない (文春文庫)

本田の創成期から本田宗一郎氏とタッグを組んで、ホンダを育て上げたもう一人の立役者藤沢武夫氏の語りおろし自伝です。
時代と言ってしまえばそれまでですが、日本がまだ本当に貧しくてどちらへ向かって行けばよいかも分からない時代に、「自分のたいまつを手にもち」最先端を切り開こうとしていた藤沢氏の物語は、純粋に読むものを惹き付ける魅力に溢れています。
緻密さと高い志と、そして運のよさが絡まりあって真に私たちの生活に直結する革新が生み出されていくのです。
縦糸としての企業文化、それをいかに根付かせ創業者の去った次世代につなげていくかが著者の藤沢氏の視点でした。それは完全に成功したかどうかはわかりません。しかし、すくなくともそのような気概でことを進めなければ、現状維持すら難しいということになるでしょう。
技術を使い、もの作りで世界に貢献しようと考える全ての企業家、技術者の方は読んで損はないと思います。