酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

くうねるところすむところ

くうねるところすむところ

くうねるところすむところ

軽快な小説です。
就職情報誌の副編集をやっていた梨央(30歳女性・独身)が、ふとしたきっかけで鳶の親方と知り合ったことから、工務店に勤務することになります。
就職先の工務店の社長聡子(46歳女性・バツイチ・大学生の娘アリ)は、父親の仕事を継いだ格好ですが、もともとは社長を継いでいた自分のダンナを追い出したために、はからずも自分が社長になってしまったという立場。
この二人の「素人」を軸にテンポ良くお話が進んで行きます。主人公達の煮詰まり具合や追い詰められ具合がうまく描かれていて、それをなんとかしようとする過程の描写も面白く、一見強引とも思える舞台設定もあまり気になりません。
小説は女性の視点から書かれているわけですが、立場と年齢の違う二人の主人公を配したおかげで、複合した視点が与えられて物語に厚みが出ています。欲をいえば折角よい素材を得たのですからもう少し長くてもよかったかも。
映画やテレビドラマにもしやすい素材だと思いました。