酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

適せん

最近気が付いたのですが、「適せん」という表記がネット上に登場するようになっていますね。たとえば以下のような表記です。

集合・解散は適せん行って下さい。
砂糖は適せん加えてください。

さて、この「適せん」とは一体何でしょう?最初全くわかりませんでしたが、どうやらこれは「適宜=てきぎ」と書きたいのだろうということに思い当たりました。多分この適宜の「宜」の字を、「宣伝=せんでん」の「宣」とまず間違えて記憶していて、頭の中で「適宣=てきせん」と読んでいて、それを仮名漢字変換してみると「適せん」が出るので、そのままになっているものと思われます。
Google で検索すると、「適せん」は現在 650 件ですが、これを「適宣」で検索すると 37,400 件ヒットします。ちなみに「適宜」は 3,700,000 ですから、大雑把に言って誤読率は 1% ということになりますね*1
流石にまだ辞書の見出しにはなっていないようです(笑)。
まあ振り仮名がなくて、文中に「適宜」と出てきたら「適宣」だと誤認してもしかたないかもしれません、特に小さな漢字フォントはつぶれて区別がつき難いですので。

*1:なお「適せん」で検索した結果の中には、今回ここで書いたような「誤読」に関する指摘も既に挙がっていました