酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

モーパッサン短篇選

モーパッサン短篇選 (岩波文庫)

モーパッサン短篇選 (岩波文庫)

久々に再読しました。モーパッサンの短篇は、基本的にどれも丁寧な情景描写と、あまり人物の内面に踏み込まず第三者の「語り」を通して、人生の哀切を淡々と描き出すところに特徴がありますね。
ありふれた日常の中に埋もれて、普通なら気付かれることのないひとの思いを、ちょっとした仕草や言葉から読み取れるような気がする瞬間があります。本書の短篇はみなそのように丁寧に織り上げられ、読者の心の中にさまざまな想像の種を蒔いていくような作品が集められています。