酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

いわゆるA級戦犯

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL

東京裁判」が今では国際法上にも問題があった、一方的な「儀式」であったことは、最近ほぼ常識となりつつあると思いますが、ではその「裁判」に問題があったとすれば、そこで「有罪」とされた戦犯の人々は実際のところどのような人たちであったのか。
個々人について改めて聞かれると、東条英機くらいしかすぐに個人名が思い出せません。これではいけないと思って、ミーハーながらこの本を購入して読んでみました。当時の状況がコンパクトにまとめられていて、入門書としては良いのではないでしょうか。建設的な議論のためにも「昔日本の軍隊が悪いことをしたらしい」どまりでは足元がおぼつかない気がしてきますので*1
決して当時日本を戦争へと赴かせていった人々を弁護するつもりもありませんが、結局そういう指導者の人たちも世論を全く無視して勝手にやっていたわけではなく、世の圧力に屈した部分も多かろうと思われます。そういう「世間の空気」がどのように醸成されていたのか、こそを知りたいと思っています。それは単に過去に対する興味というだけではなく、自分の首を絞めかねない未来のためでもあります。

*1:決して小林よしのりファンではないし、彼の言うことに必ずしも与する訳ではないけれど、こうした本の存在は貴重です