酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

「人生の答」の出し方

柳田邦男 (ASIN:4103223146)
ううむ。大上段に振りかぶったタイトルなのですが、内容は柳田氏が死を見つめながら必死に生きた人々の日々を報告する内容です。タイトルで損をしていないかと少し心配ですね。決して安易な結論を与えてくれるようなものではなく、ギリギリまで生きようともがいた人々の姿から読者が何かを汲み取ることを祈りながら書かれた本なのですから。日頃死を遠いものとして意識していない私のような人間でも、改めて背筋を伸ばしてみたくなる本です。しかしここに書かれていることの本当の重みは、私のような者には、もっと歳を重ねなければ、あるいは決定的な経験をするまでは、わからないのかもしれません。
最近近しい人を亡くした友達に紹介したいような気もするのですが、一方ひょっとすると大きなお世話かという思いが、躊躇わせます。せめて悲劇に出会う前に紹介しておくことができればよかったのかもしれません。

本書と直接は関係ありませんが、ふと思い出した仏陀の言葉を記しておきます。

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【真理のことば】ダンマパダ より。

みずから悪をなすならば、みずから汚れ、みずから悪をなさないならば、みずから浄まる。浄いのも浄くないのも、各自のことがらである。人は他人を浄めることができない。

たとい他人にとっていかに大事であろうとも、(自分ではない)他人の目的のために自分のつとめをすて去ってはならぬ。自分の目的を熟知して、自分のつとめに専念せよ。
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と、ありがたい言葉を聞いてそのときは反省しても、なかなか持続しないのが凡人の悲しいところではありますが (^-^;