酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

hiding from wife

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上の画像は下のリンクの商品画像です。

www.amazon.com

飲み屋に寄り道をしてなかなか帰って来ない亭主に不満を抱く奥方は、洋の東西を問わず多そうですが、「なかなか帰ってこない。きっとあの店にいるのでは?」と心当たりのお店に電話を掛けるという状況が昔はあったのでしょう。

今だとメッセージやLINEを送ったり、携帯に電話したりということになるでしょうし、もっと甚だしいケースでは GPS の紐付きになっているご亭主もいるかもしれません。

ということで上に紹介したリンクは、バーの壁に貼られることが想定された(今では)一種のジョーク商品です。まあお金を払っておけば、料金に対応した言い訳をしてくれるということなのですが ... (笑)。

 

 

奥さんからの電話に対する対応別料金表

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$1 : 「彼はいないよ」

$2:「いま帰ったばかりだね」

$3:「1杯だけ飲んで帰ったよ」

$4:「今日はずっと見かけていないね」

$5:「最近とんと見かけないなあ」

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(来店時にバーテンダーにお申し付け下さい)

 

knock on wood

Knock on wood

knock on wood

悪いことが起きませんように

 

直接の意味は「木を叩く」ですが、これは悪いことが起きないように木を叩いて災難を避けるという習慣(おまじない)に基いているそうです。

もともとは精霊の宿る木であるオーク類(ブナやカシの木の総称)を叩いて祈るという習慣から来たものですが、いつでも身の回りにそうした木があるとも限らず、代わりにテーブルなどをコツコツと叩いて代用するという場合などもあるとか。

これまで調子が良かった(でも悪いことが起きるかもしれない)という自慢めいたことを言ってしまったときなどに、魔除けとしてすばやく言い添えたりするようですね。

 

例)I haven’t gone into a hospital yet. Knock on wood.
     これまで入院したことが無いんだ。(これからも起きませんように

例)This year's been pretty good so far, knock on wood.

     今年はこれまでとっても調子が良かったんだ(このまま悪いことが起きませんように

例)Knocking on wood keeps away bad luck.

      木を叩けば不運を避けることができる。

 

なおイギリスでは Touch wood と言うそうです。

dictionary.cambridge.org

 

stay hydrated

Hydrate

stay hydrated

十分に水分補給を行って脱水症状を避ける

 

という意味です。hydrate を辞書でひくと

 

  1. 水和{すいわ}させる
  2. みずみずしさを与える、潤いをあたえる

 

といった意味がみつかります。

stay hydrated"hydrated" な状態に留まるということになり、すなわち水分補給を欠かすな、脱水症状を避けよう、という意味になります。

とくに専門的な言い回しではなく、日常会話でも気軽に使われる表現のようですね。

www.bbcgoodfood.com

yard と garden

random parking lot

東京外国語大学のサイトを見ていたら、イギリス英語とアメリカ英語の違いについて書かれたページがありました。

リンク:アメリカ英語とイギリス英語の語彙の違い

発音や、語彙の違いなどを解説するだけでなく、動画による小芝居も用意されています。なかなか面白いコンテンツです。ここを見ていると、自分の語彙はアメリカ英語に偏っているなと思えました。

これまでも結構アメリカとイギリスの語彙が違うということは意識していたのですが、改めて言われて「そういえば」と思ったのが yardgarden でした。

アメリカ英語で yard と呼ばれているものはイギリス英語では garden に相当するのですが、アメリカで garden と呼ばれているものは、イギリス英語ではさらに狭い意味のものを指すようになってvegetable or flower garden になるのです。

yardgarden も、どちらも英和辞典を引くと「庭」という訳語が上位に出てきますが、そこで思い浮かべられている庭の光景が違うのですね。

アメリカでは単に家のまわりの空き地は yard ですが、同じものがイギリスでは garden と呼ばれます。そしてアメリカで garden というのは花壇や菜園などがあるイメージのようです。

単語のイメージがつかみにくいときには、良く画像検索をしてみるので、今回も検索してみました。google の検索で結果をテキストではなく画像で得るようにしてみます。

yard - Google 検索

garden - Google 検索

両方を見比べてみると、garden の方が花っぽい画像になっています。

まあイギリスではアメリカでいうところの yard に相当するものも garden なのですから、もっと花のない風景がある程度出てきても良さそうなのですが、最初の検索結果ページを見る限りでは花っぽい画像ばかりです。

地域とか言語設定を色々変えて検索しても結果はほぼ同じでした。

この結果を見てふと思ったのは、Googleが画像検索のための学習に利用しているのはアメリカ英語のデータが多いのかなということでした。真相はわかりませんが、学習データの偏りというのは AI の実用化では問題として取り上げられることの多いテーマです。

おまけ

yard で Google 検索したときのトップ画像

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garden で Google 検索したときのトップ画像

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ostensible

Rusconi's Tomb of Pope Gregory XIII in St Peter's Basilica, Vatican/Rome 2016

ostensible

(1) 表向きの、見せかけの、上辺だけの

(2) 明らかな、明瞭な、目立つ 

ランダムハウスには上の順番で並んでいるのですが、Wiktionary には逆の順番で並んでいます。

ostensible (comparative more ostensible, superlative most ostensible)

    1. Apparent, evident; meant for open display. quotations ▼
    2. Appearing as such; being such in appearance; professed, supposed (rather than demonstrably true or real).

ostensible - Wiktionary

ともあれ、「目立ってはっきりしている」「そのように見せかけている」といったニュアンスをまとった単語ですね。

例えばこんな例文があります

The ostensible reason for his visit to New York was to see his mother, but the real reason was to get to the Yankees game the next day.

彼のニューヨーク訪問の表向きの理由は母親に会うというものだったが、本当の理由は翌日にヤンキースの試合を観に行くことだった

 この単語の直接のご先祖は、フランス語の ostensible だということですが、そのさらにご先祖はラテン語の ostendo ということです(ランダムハウスWiktionary)。

なおこの ostendo というラテン語

os = 前に

tendo = 広げる

という意味に分解されるということです。語源から考えると、目に見えるように見せるという意味のほうが先にあって、それがあからさまな場合に負の意味をまとうようになったのかもしれませんね。

考えてみれば extend (広げる)という英単語も同じルーツかと思って、調べるとやはり extendo というラテン語がルーツで

ex = 外に

tendo = 広げる

という意味そのままですね。