酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

失格社員

失格社員 (新潮文庫)

失格社員 (新潮文庫)

所謂「サラリーマン小説」は読まなかったのですが、ふと手にした本作は面白く読む事ができました。ある限られた組織で起きる権力争いと裏切り。作者がもと銀行員ということもあって人間観察の題材にはこと欠かなかったのでしょう。
モーゼの十戒になぞらえた、十編の短編はどれも人間の持ついじましさを戯画化して描き出していて、思わず苦笑いせずにはいられません。
分りやすいプロットと漫画的なキャラクターの配置は、そのままテレビドラマなどにしやすそうな内容だとも思いました。ひょっとしたらもうされているのかも。