酔眼漂流読書日記

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人を動かす

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

新しい年の一冊目にご紹介するのは故デイル・カーネギー氏による古典的著作(原書の初版が出たのは1936年)「人を動かす 新装版」です。タイトルからは人を操るためのノウハウ本といった感じも受けますが、実際にはひととよりよい協力関係を築き上げ、お互いにとって課題をより良い場所に着地させるためのガイドブックです。本書で述べられる原理原則はとてもシンプルなのですが、実践するにはそれなりの自己抑制が求められるような課題ばかりです。
見出しを以下に引用することにします。この見出しをみれば、ある程度人生経験を積んだ人ならそれが真であることもわかり、かつそれを日々実践することにはそれなりの自己訓練を伴う(特に大人になってからは)ものであることが理解できるのではないでしょうか。本書を一度読んだ後は、この見出しだけを手帳等に書きとめ、いつでも参照できるようにしておくのが良いかもしれません。お正月にゆっくり読むのに適した一冊でしょう。

  • PART1 : 人を動かす三原則
    1. 盗人にも五分の理を認める
    2. 重要感を持たせる
    3. 人の立場に身を置く
  • PART2 : 人に好かれる六原則
    1. 誠実な関心を寄せる
    2. 笑顔を忘れない
    3. 名前を覚える
    4. 聞き手にまわる
    5. 関心のありかを見抜く
    6. 心からほめる
  • PART3 : 人を説得する十二原則
    1. 議論を避ける
    2. 誤りを指摘しない
    3. 誤りを認める
    4. おだやかに話す
    5. ”イエス”と答えられる問題を選ぶ
    6. しゃべらせる
    7. 思いつかせる
    8. 人の身になる
    9. 同情を持つ
    10. 美しい心情に呼びかける
    11. 演出を考える
    12. 対抗意識を刺激する
  • PART4 : 人を変える九原則
    1. まずほめる
    2. 遠まわしに注意を与える
    3. 自分のあやまちを話す
    4. 命令をしない
    5. 顔をつぶさない
    6. わずかなことでもほめる
    7. 期待をかける
    8. 激励する
    9. 喜んで協力させる

ところで、以上のようなことを一冊の本ではなく、短いフレーズに凝縮してかつて述べた日本人がいました。連合艦隊長官 山本五十六 氏です。以下のようなフレーズをどこかで耳になさったこともあるのではないでしょうか。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

ほれぼれするようなフレーズで、日々のリマインダとしては有効ですが、その意味するところをじっくり考えるためには、ご紹介したような本を読むのも一つの手ではないでしょうか。

ひとと協調を関係を生み出すための「言葉の持つ意味」についてさらに考察を深めたい方には、以下の本もお薦めしておきたいと思います。コミュニケーションに関心のある方全員にお勧めしたい名著です。ご興味があれば年頭の読書リストに加えてあげて下さい。

思考と行動における言語

思考と行動における言語