酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

うめ版

うめ版 新明解国語辞典×梅佳代

うめ版 新明解国語辞典×梅佳代

梅佳代氏の撮影する写真は、みな懐かしく人の息遣いに満ちています。

この本はその梅氏の写真と、ユニークな解説で一部の人に知られた「新明解国語辞典」(新明解国語辞典 第6版 小型版)を組み合わせた企画編集ものです。見開きの右側に新明解国語辞典の項目と記述が一つ挙げられ、左側には梅氏の写真。言葉とは直接関わりあるような、ないような、でも確かに何かを語りかける力をもった写真たちがそこにはあります。

言葉との組み合わせにインスピレーションを感じるもよし、単に写真だけを眺めるもよし。辞書の記述を写真のキャプションとして考えこむ必要はありません。それはスパイスの一種としてたまたまそこに置かれているだけで、読み手が様々に妄想をひろげていくことを押しとどめるものではありません。

個人的には「暮す」の見開きにある写真(おじいさんと犬が炬燵を囲んでいるもの)が気に入っています。
単に切り取られた一瞬だけではなく、その前後に流れる生きた時間、生きた会話をその写真から読み取る事ができるかのような気がします。

梅佳代氏は気になる写真家です、次は「男子」を手に入れてみたいなと思っています。

男子

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