酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

The Art of UNIX Programming

The Art of UNIX Programming

The Art of UNIX Programming

UNIX 文化の精髄とその来歴をコンパクトにまとめ、いくつかの技術事例を通してその具体的な紹介も行った本書は、私のような旧世代 UNIX 技術者にはこの上もなく懐かしく感じます。しかし、もちろんオジサン世代の懐古趣味を満たすことが本書の主たる価値ではありません。この本はむしろ新しい技術者の人たちにこそ読んで欲しいものです。
いまではありふれた普通名詞のようになってしまった「オープンソース」という言葉の意味をじっくり味わい、UNIX を題材として、簡潔な設計の力、開かれた技術の力、そして未来に向けて解決されていくべき課題を(再)認識するため羅針盤として現在もっとも優れた書籍の一つであるということができるでしょう。UNIX の技術そのものを詳細に紹介した本ではありませんが、表面的な理解を越えて一歩進んだ場所へ行きたいと思う技術者の欲求に応えてくれることでしょう。

なお今回から、特に若い技術者の方々におススメしたい技術書等に[推薦]というラベルを付記することに致しました。そのうち過去の記事にも遡ってラベリングするかもしれません。