酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

なれずもの

なれずもの

なれずもの

中島らも氏は含羞の人です。作家という職業をなくてもよいものと断じ、だからこそ「本気で遊んでみせなければ」おあしはいただけないと、見得を切ります。
泥酔の挙句階段から転落して死んだ中島氏の死に様は*1、まさに遊びに生き、遊びに殉じたものということができるでしょう。
この本は事故の直前まで続けられた様々な人たちとの対談を、中島氏の死後まとめて出版したものです。
最後の対談相手松尾貴史相手の部分が私にとっては白眉でした。筒井康隆氏の演技を酷評した部分も筒井氏への愛情溢れる表現だと思いました(笑)誰かが猫の首に鈴をつけなければ…?。

ともあれ最後の一行、中島氏の「あー、おもろかった」を読んだときには涙が出ました。

改めて合掌。

*1:私は生き様という言葉は嫌いですが、死に様という言葉は使います