酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

日本語の森を歩いて フランス語から見た日本語学

日本語の森を歩いて (講談社現代新書)

日本語の森を歩いて (講談社現代新書)

発話操作理論に基く日仏対照言語学を専門とするフランス人研究者(著者の一人)が、日本語とフランス語の対比を行いながらその深い構造に迫った労作です。もう一人の著者はフランス人研究者の夫で表象文化論を専門とする方です。
英語と日本語の対比というテーマの一般向けの書籍は、例えばマークピーターセン氏の著作などの、優れたものが沢山出版されていて、個人でもときどき買って楽しんでいますが、フランス語と日本語の対比というテーマで、一般向けにこれほど掘り下げられている本は初めて読みました。
さりげない会話フレーズをとりあげて、その構成を腑分けしつつ、フランス語との対比と抽象構造の類似/相違を考察していく様は、なかなかにスリリングです。良質のミステリーを読むような感覚ですが、かなり歯ごたえもあり寝転がって読むのは少し辛い感じでもあります。起き上がって机に向かって読みましょう。
惜しむらくは、もし私がもっとフランス語を知っていれば多分10倍は楽しめただろうということです。
その意味でこの本は特に、お友達のK子さんにお勧めしておきたいと思います(笑)。