酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

モモ

モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))

済みません。実はこの本を実際に読んだのは今回が初めてでした。20年以上前からずっと読書リストには入っていたのですが…。
子供騙しではない哲学が語られている物語ですね。
しかしそう言われたとしても、しかめ面をしてこの本を読む必要はないのです。何よりもこの本はどきどきする冒険小説でもあるのですから。
途中主人公の小さな女の子モモが、マイスター・ホラに連れられて訪れた「時の花の生まれる場所」の描写は溜息の出るほど美しい場面だと思いました。後半のスピーディな展開は息をもつかせぬほどです。もちろんこの本は寓話に過ぎませんが、自分自身の輪郭を改めて考えさせる力があるような気さえしました。
映像化作品もあるようですが、今のところ私の中に宿った余りにも美しいイメージを損なわないように、手を出さずにおこうと思います。
今回本書も新訳で岩波少年文庫の一冊に加わったのですが、本当にこのシリーズは秀逸ですね。昨年にはケストナーの一連の作品を読みましたし、イターロ・カルヴィーノの可笑しくも悲しい名作「マルコヴァルドさんの四季 (岩波少年文庫 2084)」を読んだのも岩波少年文庫でした。