酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

フィッシュ! - 鮮度100%ぴちぴちオフィスの作り方

Stephen C. Lundin, John Christensen, Harry Paul (ASIN:4152083263)

"BEANS" に引き続き読んでみた"ビジネス本"。先の本もそうでしたが、この本も仕事をするための「心構え」を説いた本です。両者に共通するのは選ばれた少ないポイントをチェックリストの形で挙げて、すぐに読める形で読者に示している点です。
「フィッシュ!」で示される要点は以下の4つです
(1)態度を選ぶ、(2)遊ぶ、(3)人を喜ばせる、(4)注意をむける。
読めば当然のことばかりで、何を今更と思う人もいるでしょう。このうち、一番重要なのが「態度を選ぶ」(楽しく仕事をするのか、つまらなそうに仕事をするのかそれはあなた次第)だと本書は述べています。こう聞くと「要するにポジティブシンキングのこと?」と思うかもしれませんが、根拠のない自信を元に現状を追認するだけの(間違った)ポジティブシンキングとは異なり、本書に書かれていることは「目の前の仕事にきちんと向き合い、なりたい自分のイメージを描くことができれば、いま自分がとるべき態度も自ずと決まる」というきわめて謙虚な主張に過ぎません。
薄くてすぐ読める本ですから、ちょっとした空き時間にも読めるでしょう。
この本も BEANS も、一応ビジネス本というカテゴリにはなっていますが、中学校や高校の教材にしても違和感がないかもしれません。また一般に世の中では「(組織や、世の中で必要な仕事だけれども)つまらない、退屈だ」と思われている仕事に従事している人たちに、その「つまらなさの(主に自縄自縛による)罠」から抜け出せるためのヒントを与えてくれるかもしれません。
話は少しずれますが、この本も先の BEANS も舞台はシアトルです。これらの本に書かれた「人間中心主義」とでも呼ぶべき態度を育みやすい場所柄なのかもしれません。確かにニューヨークやロスアンジェルスではこうした物語は生まれにくいような気がします(まあこれは私の偏見に過ぎませんが)。