- 作者: オノ・ナツメ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: コミック
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物語的には互いに関係はしていないのですが、最後の一編を除き、その底に流れるのは「日常を形作る小さな願い(あるいは祈り)の成就」です。
日常の一コマが切り取られ、そこに登場する人たちのささやかな願いが語られ(あるいは暗示され)、それがひとつ成就する様子が語られますが、もちろん人生がそこで終わってしまうわけではなく、過去から未来へとつながる流れがその前後に感じられるような仕上がりとなっています。
このため、それぞれの作品は「短編」であっても、その奥に「長編」の存在を感じることができるのでしょう。
最後の作品「パートナー」は、NYPD(ニューヨーク市警)の刑事たちを描いたもので、小さな願いという観点では描かれていないものの、やはり「大きな物語の一部」として読む事ができます。実際この最後の短編はシリーズ化されて2008年春から講談社の「モーニング・ツー」で連載が始まるようです。
短編の「パートナー」はどちらかといえば「リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)」の流れを汲むハートウォーミング系ですが、連載の予告によれば新連載は「堅く乾いたリアル」を描くということです。とすると、人間のどうしようもないリアリティを扱った「not simple (IKKIコミックス)」系のものになるのでしょうか。いずれにしよ楽しみにしておくことにします。