酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

大奥 第3巻

大奥 第3巻 (ジェッツコミックス)

大奥 第3巻 (ジェッツコミックス)

一年に一冊のペースで刊行される、よしながふみ氏の「空想歴史漫画」です。
以前にも一度ご紹介しました

大奥 - 身辺雑記 - ardbeg1958

男女の役割が逆転した世の中と大奥(女性将軍に大勢の男性が仕える)を描くという、よしながふみ氏の試みは、圧倒的な面白さをもって読者を惹き付けます。第一巻のあと、時間は過去に戻され、第二巻第三巻の二冊を使って男女逆転大奥の成り立ち(に関わる切ない物語)が語られて来ました。
これから先どこかの時点で、時間は第一巻に再び返り、更に未来が描かれることになるのでしょう。
この物語を構成する「せつなさ」は、個人の意志をお構いなしに踏みにじって行く現実の容赦なさが源泉です*1

作者は、なかなか決着を付けにくい風呂敷の広げ方をしてしまったと思いますが、無責任な読者としてはこれからの展開を楽しみに待つだけです。

ところで本筋には全く関係ありませんが、第一巻第二巻では酷評されがちだった、剣術のシーンが第三巻ではかなり「普通」になっていました。研究なさったのでしょうね。

*1:だからこそ逆に私たちは「強く願えば思いは叶う」と言いがちなのでしょうけど