酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

リアル 7

リアル 7 (ヤングジャンプコミックス)

リアル 7 (ヤングジャンプコミックス)

前回取り上げたのは二年前、丁度第5巻が出た直後でした。

リアル 5 - 身辺雑記 - ardbeg1958

以前にもまして、その「リアル」というタイトルの重みを感じさせる作品になっています。同時連載中の「バガボンド」もそうですが、作品の中では様々な「困難」が描かれます。因果応報的なものもあり、正に不運としか言えないものもあり、その過程で読者は登場人物たちの価値観の崩壊と再生を繰り返し追体験していくことになります。
昨日までの日常生活がちょっとしたきっかけでがらりと様相を変え、いままで知らなかったもの見えなかったものが見えてくる。ちょっとあざとい感じもしますが、圧倒的な画力が見るものをひきつけてやみません。プロットを拾っても多分陳腐なだけです。そういう意味できわめて他の映像媒体にも移し替えにくい作品だということができるでしょう。
と言いつつ、かつて公開された映画「愛と哀しみのボレロ [DVD]」のような*1、巧みな脚本と映像作家が手組めばあるいは…と妄想が膨らみます。

*1:この映画も複数の登場人物たちの何十年にも渡るエピソードを積み重ねながら最後のクライマックスへと収斂して行く作品です。ニューシネマパラダイスが出るまでは、この映画が一番好きでした