酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

アルルの女

長野県松本に出張で来ています。本来は一日早く帰る筈だったのですが、知り合いに誘われて松本でお芝居を見ることになりました。題材は「アルルの女」。まつもと市民芸術館が主催ということで、単純に出来合いの演劇を外から買い付けるというものではなく、コアになるプロと市民の協働製作というスタイルになっています。
正直に言えばそれほど期待していたわけでもないのですが、予想は良い方に裏切られて大層面白いものでした。特に準主役級で出演した68歳の男性、北嶌学(きたじまがく)という方の演技には感銘を受けました。この方はもともと建設業者で現役時代全く演劇とは縁のない生活を送っていらっしゃったのですが、引退後奥様の看病をして過ごされていました。その奥様の死後、ほとんど無気力状態に陥った父親を見かねた長女の方が、少しでも外に出そうと、北嶌氏を松本市内で行われるエキストラの事務所に無理矢理登録したそうです。そうした縁で今回の舞台への抜擢となったわけですが、わずか一年ほどの演技経験とは思えない堂々とした存在感がありました。
劇場による案内→http://www.city.matsumoto.nagano.jp/mpac/top/public_p/contents/details/aruru.htm