酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

有名な Lisp ハッカー*1 Paul Graham 氏がウェブ上に発表していたエッセイを編集しで出版したものの翻訳本です。翻訳もウェブ版を翻訳して公開していた川合史朗氏によって行われています。
コンピュータ技術とその技術を支える技術者のあり方についての Graham 氏の主張は明快でいつも刺激的です。それゆえに出版に際して、米国では広い議論を巻き起こしました。
たとえば、「先進的な技術で成功しようとしている際に Java などの「誰でも使っている」技術で大きくライバルを引き離すことはできない、現在解こうとする問題に最も相応しい道具が選べるし、そうすべきだ」という主張は、現在の多くのソフトウェア企業の経営者にはとても受け入れられない主張のように響くでしょう。しかし冷静に考えれば、ライバルに圧倒的に差をつけてぶっちぎりのゴールを決めるためには、きわめてまっとうな主張を含んでいることがわかります。
また本の後半はプログラミング言語に関するさまざまな考察が述べられていて、プログラミング言語の成り立ちに少しでも興味のある人にとって、いろいろ考えさせられる内容になっています(まあこの辺に関心のある方はとっくにウェブに公開されていた版を読んでいらっしゃると思いますけど…笑)。
一般のハイテクフリーク、すべての技術者と技術管理に興味のあるひとに多くの示唆と議論のネタを提供してくれる本だと思います。

*1:もちろん「良い」意味でのハッカーです。もともとこの言葉はとびぬけて優秀な技術者を表すために用いられていたのですが、残念なことにジャーナリズムの誤用により、悪い意味(他のコンピュータに侵入して悪さをする)で使われる機会が増えています