- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/06
- メディア: 新書
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レヴィ=ストロースは要するに「みんな仲良くしようね」と言っており、バルトは「ことばづかいで人は決まる」と言っており、ラカンは「大人になれよ」と言っており、フーコーは「私はバカが嫌いだ」と言っているのでした。
「なんだ『そういうこと』が言いたかったのか。」
まあ実際に中身を読んでみると、もっといろいろな入門的な話が丁寧に(といいますか、落語的に)書いてあるのですが、それを一言で集約して言ってみろ!と迫られたら、確かに上のような要約にするのも「アリ」かもしれません(笑)。Amazon の書評を見てみると、好意的なものが多いのですが、「堕落している」とか「面白いけど、これですべてがわかった積りになってはならない」とか「おじさんの小遣い稼ぎ」といった書き込みもちらほら目立ちます。
私にとっては構造主義のテキストのいくつかは、大学時代に怖いもの見たさに取り組んでみたものの、結局未消化のまま本棚の肥やしとなっていました。著者の内田氏も似たようなことを書いていて、二十歳のころは良くわからなかったが、歳をとって読み直すとわかりやすかったとのこと。それは人間や社会のありようの不合理さ、それゆえの面白さを一通り潜り抜けて年齢を重ねてきた結果なのかもしれませんね。
ともあれいろいろなことを考え直す刺激となる良い本だと思います。たとえ批判的に読みたい人にとっても。表題の如く姿勢を正さずとも気軽に読める文体ですしね。