木下夕爾(著)ISBN:4938951223
木下夕爾は金子みすゞのように心を強く揺さぶるような作品を残したわけではありませんが、心のなかに少しずつ沁みこんで来る穏やかな詩が持ち味です。以前句集を紹介しましたが、本詩集は児童詩集ということで、とくに可愛らしい作品が中心です。
ただ優しい語り口の向こう側に、「ひとりであること」の不安が透けてくるような印象も受けます。
ひばりのす
みつけた
まだ誰も知らないあそこだ
水車小屋のわき
しんりょうしょの赤い屋根のみえる
あの麦ばたけだ小さいたまごが
五つならんでる
まだ誰にもいわない