酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

100人の森博嗣 100 MORI Hiroshies (ダ・ヴィンチ・ブックス)

作者: 森博嗣
久しぶりの森博嗣氏の本です(積読の山からやっと引っ張り出した次第)。小説ではなくエッセイ集です。自作品に対するあとがきを集めたもの、書評や本に関するもの、他の作家のために書いた解説を集めたもの、趣味や考え方を述べたものなどなど、バラエティに富んだ内容です。森氏のファンならどれも楽しめる内容だと思いますが、私にとっては森氏を創作と小説の道に導いてきた作家達の話(萩尾望都エラリー・クイーンそしてディビッド・ハンドラー)がとても興味深いものでした。
特に「ディビッド・ハンドラーの作品に衝撃を受け、それをまねたくて小説の創作を始めたのだが、まねが下手なので誰も信じてくれない」といった意味のくだりを読んだとき、昨日読んだ「一億三千万人のための小説教室 (岩波新書 新赤版 (786))」との符合に驚かされました。森氏も世界から打ち込まれて来た言葉を受け取ることのできた、幸福な人の一人なのだなと思いました。
さて、そんなに面白いなら是非読んでみたいと思ったのですが、しかし残念なことにハンドラーの本はほとんど絶版で(1999年頃出版された文庫にも関わらず)今は入手が困難のようですね。古本を地道に集めるしかなさそうです。