酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

夏のレプリカ―REPLACEABLE SUMMER 講談社文庫

森 博嗣 (ASIN:406273012X)
幻惑の死と使途』と同時期に起きた別の事件を、偶数章だけで構成した物語です。本シリーズの主人公の一人である西之園萌絵の友人、簑沢杜萌の実家でおきる、誘拐、拉致、殺人事件が描かれますが、珍しく「密室物」ではありません。お話は相変わらず軽快に読み進めることができます。
さて、ここまで読み継いで来て、ようやくこのシリーズの底流に流れる共通性が段々見えて来たような気がします(いや、お恥ずかしい)。それは


複製(レプリカ)模型(モデル)そして名前(アイデンティティ
でしょうか(まあ最後の「名前」は前二者に深く関連していますから、余分かもしれませんが)。『封印再度』(当初のシリーズ最終予定巻)では「模写」が重要なテーマとして扱われていました。『全てがFになる』(実際に出版された第一巻だが、森氏の執筆順では第四巻)がシリーズ冒頭に移動したために、単純な「クレシェンド→完」にすることができなくなったため、「幻惑の死と使途」以降の巻が書かれたのでしょうか(邪推ですけどね)。
まだ先は読んでいませんが、最終巻のタイトルが「有限と微小のパン―THE PERFECT OUTSIDER」であること、すなわち第一巻「すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER」と対を成していることからもそれは予想できますね。