酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

うまい日本酒はどこにある?

増田 晶文
ここ二十年来、年々売上高が減少している日本酒市場にたいして、「汎日本酒主義者」「日本酒原理主義者」を自認する著者が切り込んだ本です。日本酒の衰退の要因を、探るべく、多くの蔵元、流通、飲食店、消費者たちの行動を追い、インタビューを重ねます。行過ぎた吟醸信仰や、故なき大メーカー蔑視の問題点なども取り上げていて好感がもてます。私も最近は日本酒を飲む機会がめっきり減ってしまいましたが、なによりも食事と共に飲み続けることができて、しかも翌日まで酔いを持ち越さないタイプのものがもっと増えればよいのにと思います。高価な吟醸酒などの中には香りばかりが強くて、最初の数口は感心しかけるものの、直ぐに飽きてしまったりするものも多いですしね。もともと構想段階では「日本酒が消える」というタイトルだったそうですが、検討の結果今のようなものに落ち着いたということです。
内容は面白いのですが、はっきりいって文体は暑苦しいと思いました(笑)。ねちっこい文章が苦手な人には少しお勧めするのを躊躇います。