酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

被差別の食卓

被差別の食卓 (新潮新書)

被差別の食卓 (新潮新書)

被差別部落出身の著者が、世界の被差別階層の食事情を訪ね歩くという主旨の本です。といっても深刻で肩に力の入ったとりあげかたではなく、不謹慎な言い方を許していただけるなら一種のB級グルメ本として読むこともできそうです。
アメリカのソウルフードはむしろ有名な存在にになりましたが、他に取り上げられているブラジルの黒人料理や、ジプシーのハリネズミ料理、ネパールの下層カーストの食事などはあまり馴染みがなく興味深く読むことができました。
先日大阪に出張した際に、「さいぼし」というものを初めて食べたのですが、そのときは「馬肉で作ったジャーキー」といった程度の認識しかありませんでした。ところがこの本を読むと、そのルーツは被差別部落に求めることができることがわかりました。もっとも現在の馬肉の「さいぼし」は、かなり高価なもので(100グラム600〜1000円)あまりものの肉を使っていた出自からはかなり離れたものになってしまっているようですが。