武装解除 - 紛争屋が見た世界
![武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書) 武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41R416B2W1L._SL160_.jpg)
- 作者: 伊勢崎賢治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 新書
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伊勢崎氏が現場で見聞きした「国際支援」の経験、とくに治安回復支援に関わる現場の状況は、薄められた日本の報道では決して知りえないような、切羽詰ったリアリティを伴って迫って来ます。
著者は大部分の章では淡々と現場報告を感想とともに述べていくだけなのですが、読めばよむほど、問題の根深さと解決の困難さに溜息が出ます。また「国家とは何か」に対する根本的な疑問を読者に突きつけてくるように感じられます。
武力を持たない筈の日本が、アフガン復興事業ではなぜか「DDR(武装解除、動員解除、復員処理)」の主導をとることになった奇妙な捩れについても、その状況が良く理解できました。最後の章では著者は少し挑発的な書き方をしていて、右も左も巻き込んだ論争を提起したいのかなと思わせます。まあこうした問題提起を真正面からとりあげて議論の俎板に載せることにできる政治家がいれば、まだましなのかもしれませんが…。
もちろん本書が答を与えてくれるわけではありませんし、著者の考えに全面的に賛成するわけでもありませんが「国際貢献」の問題を事実に基いて議論するためのきっかけとなる本だと思います。
(追記):本日付の読売新聞には米国高官による「日本の DDR プロセスへのより厚いコミットメントを期待する」談話が載っていました。