酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

上京ものがたり

上京ものがたり

上京ものがたり

西原理恵子氏による「自伝風」上京物語。あいかわらずツボを抑えた構成で、ほのぼのとした絵本のように読むことのできる内容です(ビッグコミックスピリッツに連載されていました)。都会に出てきて感じる一人暮らしの不安、男性との腐れ縁、貧乏なのに拾ってしまう金食い虫の猫、アルバイト先での酔客との絡み、絵を描くことへの絶望と憧れの間で揺れながら、やがて絵を描くことを仕事としてひとり立ちしていくまでの過程が描かれます。
まあ、わざとらしいとか、あざといといった感じを受けないでもないのですが(笑)、そうした「濃い」人生を背中に負いながら、「美しい」物語を紡ぎ上げるのが西原氏の持ち味(芸風)ではありますしね。