加藤昌治(著)
「考具」とは、「考えるための道具」といった程の意味です。現代人なら多かれ少なかれ、何かを「考えて」それをまとめていくといった作業を強いられている筈ですが、そのための「道具」はと考えると、自分の頭の中だけで考えることと、あるいは簡単な走り書き程度という方も多いのではないでしょうか。絵を描くには絵筆が、釘を打つには金槌が、魚をさばくのには包丁があるのに、考えるときに有効な道具がないのはある意味不自然です。
ということで、こういう目的に使える道具立ては、実際には色々と提案されています。例えばKJ法や、マインドマップ、マンダラートといった発想や整理のためのツールの名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この本では著者の加藤氏(博報堂の社員)が、日々アイデアを搾り出しそれらをまとめていく過程で、援用している様々な「考具」を紹介しています。ここでは考具は大きく3つのカテゴリーに分けられています
です。読んでいくとわかりますが、「紋切り型」の視点を脱却し、新しい組合せを発想するために役立つツール群が紹介されています。本書の基本姿勢は
1. 情報を収集するツール
2. アイデアを展開するツール
3. アイデアを企画に収束させるツール
ということなので、ともあれ発見したり思いついた要素を自由に配置して、新しい組合せを試せる手法が中心になっているのです。日頃「アイデアを出せ!」とか「斬新な企画を提案しろ!」というプレッシャーを受けて苦しんでいる人には、役に立つヒントが多いのではないでしょうか。
無から有は生み出せない、『新しい発想』とは、既存の要素の
『新しい組み合わせ方』の別名である
最後に、既に有名ですが本書でも紹介されている、アイデアに詰まったときに役立つ「オズボーンのチェックリスト」を引用しておきましょう。対象に対して以下のような問いを立てることで行き詰まりを解消し、新たな発想を得ようとするものです。
転用したら?
応用したら?
変更したら?
拡大したら?
縮小したら?
代用したら?
置換したら?
逆転したら?
結合したら?