酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

謎のギャラリー―こわい部屋 新潮文庫

北村 薫 (編) ASIN:4101373256
北村薫氏の手によるアンソロジーで、表題にもあるように様々な「こわい」話が集められています。といっても安易にお化けが出てきたり、血飛沫が飛んだりというものではなく、あくまで大人の読者を心理的に怖がらせる仕掛けに満ちたものになっています。上質のスリルを味わいたい方にお勧めします。
特に私が気に入ったのは、以下のものでした。
「七階」(ディーノ・プッツァーティ)、「やさしいお願い」(樹下太郎)、「どなたをお望み?」(ヘンリィ・スレッサー)、「夏と花火と私の死体」(乙一)。いずれも面白いものばかりで、入院生活のお供に良かろうかというものですが、残念ながら「七階」という作品があまり病院の中にいるときには読みたくない代物ですので、お見舞いに持参する際にはご注意を。
最後に解説代わりに収録されている北村薫氏と宮部みゆき氏との対談も楽しめます。ややネタバレ気味でもありますので、純粋に楽しみたい読者はまず作品を読んでからこの対談に向かうと良いでしょう。